IBM賃金減額裁判での請求を会社が「認諾」。勝訴以上の完全勝利です。

              声 明

<日本IBM、賃金減額問題について判決前に自旗を揚げる!>

 全日本金属情報機器労働組合(JMIU)日本アイビーエム支部組合員9名が原告となつて日本アイ・ビー・エム(以下「IBM」)を相手に提訴していた賃金減額裁判(東京地裁平成25年(ワ)第25401号)において、IBMは、2015年12月25日に決定していた判決言渡しの1か月前である11月25日、突如「原告らの請求を全て認める」として、遅延損害金含め総額約1183万円を支払うと言明した。

 訴訟上、これは「請求認諾」となり、裁判はこれをもつて終了するが、原告側の完全勝利である。判決直前の「認諾」は極めて異例であり、判決によつて賃金減額制度が「違法」と断罪されることが確実視されるなか、その社会的影響を避けるための苦肉の策としか考えられない。判決前に自らの減額措置が誤りであつたことを認め、自旗を揚げたもので、それは勝訴判決以上の意味を有する。

 本件でIBMは、労働者や労働組合との誠実な協議をしないまま、就業規則を一方的に改訂し、従前なかった賃金減額を可能とする文言を挿入し、2013年7月1日に本給で8.25~ 12.8%、年間収入で9.98~ 15%の減額率での減額措置を行った。なかには4回の減額で500万円を超える賃金ダウンを受けた者もいる。

 労働基準法91条では、懲戒処分の場合ですら「10%を超える賃金減額をしてはならない」と規定しているが、ほとんどがこれを上廻る減額率である。

 加えて、就業規則には減額の基準や金額については何の定めもなく、何年連続でも、いくらでも減額できるという「フリーハンド」を会社に与える規定になっている。この就業規則の改定当時、IBMは業績も順調で約940億円の経常利益を上げており、減額制度の導入の必要性は全くなかつた。労働契約法10条が、就業規則の一方的改訂による労働条件の不利益変更の場合に、これを有効とするために定めた必要な要件を全く具備していない。

 減額は、労働者を職場から排除する狙いで行われており、退職勧奨に応じない者は解雇される。現に、本件9名の原告のうち半数以上の5名が減額措置後に解雇予告通知を受け、2名が解雇無効を求めて裁判係争中である。減額は正に解雇への一里塚である。

 12月25日に言渡される予定であった判決は、これらの点を厳しく断罪するものであったことは推測に難くない。本件裁判については、労働者側の全面勝利で終わつた。しかし、未解決の問題が山積みされている。何より月額本給・年間収入が減額前に戻つておらず、本件の翌年も組合員に対する減額措置がなされている。

 IBMが、係争中の解雇事件を含むこれら全ての未解決問題について、本件「認諾」を契機に、JMIUとの団体交渉を速やかに行い、全面的な解決を図るべく、労使正常化に向けて大きな一歩を踏み出すことを期待し、要求する。

以上

2015年11月27日

全日本金属情報機器労働組合

同 日本アイビーエム支部

同 弁護団